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「共に成長すること」

マカイバリ茶園4代目茶園主
スワラージ・クマール・バナジー

2002年11月 インド・ニューデリー 国連開発計画(UNDP)でのスピーチ

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 私たちが生きぬいている時代は、極めて理解し難い複雑な社会問題を生み出してきました。そのため、自然のなかへ足を踏み入れれば、そこで安堵感がひろがり、雑然と神経をすり減らす毎日からあっという間に解放されます。アンテナを向けてみれば、観察するだけで、自然の智恵とその純真さに気づきます。

 例えば、クルセオンからデリーに旅行することになれば、旅をして、デリーで仕事を成し遂げることの社会的な意味合いというのは、実に込み入ったものがあります。仕事の達成だけを考えていれば、僅かなことしか対処できません、社会的な意味合いをほとんど配慮することもなく。かといって、社会で起こっている派生的な問題についてあれこれ考えようとして、少し時間をとれば、途端に、そのにわか分析家は訳が分からなくなってしまうでしょう。

 ですから、知性と高い教育を身につけた人であっても、私たちの社会状況を理解するのに必要な概念を文字通り実現する能力は、持ち合わせていません。これは、インドにおいては都市部での現象ですが、農業の工業化および通信システムの発達と共に、急速に田舎にも広がってきています。

 村落の大部分では、違う社会制度がまだ存在しています。聖地や寺院は霊感の源であって、共同体はそこに集います。悟りを開いた者たち(聖仙や賢者)の偉大な時代から継承され、時の試練に耐えてきた霊的洞察は、いまでも信奉され、社会生活のなかで実践されています。バラモン(僧侶)が育んできた魔力的なマントラは人々の魂に触れるものですし、社会的な活動もこの道徳観を基礎としています。ピラミッドの頂点から基盤へと送られるマントラのメッセージの光明は、農耕を反映しているのです。

 これが、ホリスティックで地球にやさしい農業の基礎でして、そこでは、農耕は宇宙の力の流れを受けて、多様な生命形態に対して、それがたとえ地下のことであっても、効果的な転換となるものです。つまり農作物、果実、その他の継続的に利用できる資源から、「贈物」への転換。それは社会的な一体性なのです。

 人間は身を落ち着けると(つまり、自分の根を下ろすと)、思考過程を明快にする方向へ向かって進歩します。あるいはこうした知的な発展から、論理的発想が浮かび上がってくるのです。科学技術というのは、この論理の副産物です。そして、科学的思考は物質社会に局部集中して、精神を鼓舞するのに役立っています。そのため、この思考は死んでいるのです。私たちが生きている今の時代、つまりカリ・ユガの真っ只中で、この死んだ思考が私たちの生活をあらゆるレベルで支配しているのです。

 論理的思考は産業と機械を作り出します。そして機械は人間の労働を分業化します。それは、言い換えれば、生産と、最終的には経済全体を支配することです。利益に重点を置いて経済を調整するために、社会のマクロ・ミクロのあらゆるレベルで、専門家たちがはびこっています。そのため、社会的な一体性は、みんなが一歩抜きん出た男であることを求めてひしめき合ううちに、失われてしまっています。これはエゴを煽って無意味な競争を支配しようとすることから起こるのです。バイオダイナミック農業は、この傾向を元に戻し、失われた土地を回復し、人を前向きな発展への道に引き戻すための積極的な解決を与えます。

 工業化した、あるいは慣習的な農業は、化学肥料、農薬等を投入することで経験するように、一時的な余剰生産を確かに生み出します。しかし、どれだけの犠牲を払うことになるでしょうか?これらはすべて、長期にわたって破壊する道具なのです。これは、明らかにアルコール依存症患者と類似しています。ひと時の利益があっても、これを維持するには、もっと毒性のある化学物質を増量し続けなければなりません。人工的で一時的な刺激を一杯のウイスキーで得るのは、バランスのとれた食生活として望ましいことでしょうか(酒というのは、継続して飲み続けると、一年後にはどんどん量が増えていき、さらに時間に比例して量が増えるものですから)。

 ダージリンの歴史は、はっきりとこの事実を実証しています。ここでは、魔術の治療薬として致命的な量の化学肥料が散布されたにも拘わらず、収穫量は過去30年間減少し続けていました。最初に大量増産という幸福があってからは、急速な減産、思慮のない単一紅茶栽培(しかも除草剤の散布を加えた)による荒廃、生産力の低下、そして社会的な一体性の崩壊が、この魅力的な地域を、ひどく混乱して絶望的な崩壊の崖っぷちの州に陥らせてしまいました。

 マカイバリ茶園では、バイオダイナミック農法によってこの傾向を阻止しただけでなく、状況を逆転させます。つまり、バイオダイナミックの実践は、農業が地球の進化に左右されるということを気づかせてくれるのです。

 地球は宇宙の創造物なのですから、私たちの考えることは自然の力に決定されるものであって、私たちの考えから生まれる産業機械によって決められるわけではありません。私たちには機械を作る自由はありますが、しかし植物はすべて、宇宙に由来する自然の法則によって成長するのです。産業生産物はすべて、時間からも、自然のリズムからも、昼夜からも、そして季節からも独立していますが、その一方、農作物はすべて、自然のリズムに依存しています。

 ダージリンの私たちは、休眠状態の寒冷期には、ファーストフラッシュ紅茶を生産できません。ヴィンテージ紅茶を収穫するには、日が長くなって気温が上昇し、優しい春雨が降るのを待たねばならないのです。同様に、秋やファーストフラッシュの時期には、セカンドフラッシュのマスカテルを期待することはできません。なぜなら、この二つの時期になると、がらりと一新した自然のエネルギーが舞台に登場するからです。(これらの力を理解しながら、調和して働くことは、その労働に関わるあらゆる物事を発展させ、究極的に成就させることになるのです)。

 自然の力は、生産と再生産においてホリスティック(全体的)なものですが、機械はそうではありません。茶木は、望ましい時期になると、交代のために茶葉と種を生みだすものですが、機械は、磨耗すれば交換しなければなりません。これが、死の思考に基づく社会的秩序と自然の法則に由来する秩序との基本的な違いです。要するに、経済と、その副産物である貪欲さを強調するあまり、私たちの焦点は、持続していく自然の力に導かれる社会的な秩序に沿った生活から、死の思考に根ざした機械が支配する混乱した破壊的な社会のシナリオに移行していったのです。

 マカイバリ茶園の製法は、工業化の束縛から私たち自身を解放するための誠意ある試みによって始められました。私たちは、変質してしまったものを、大地とその環境と空気の真理へ転換しようと試みてきました。

 私たちの水資源は限られていますから、大量のマルチング(敷きわら、根覆い)で水を貯え、保持しています。マルチングは、モンスーンの雨の衝撃が土地を侵食し、表土を流失させるのを阻止します。また、それは、雑草を枯らさずに、成長を抑えてくれます。そのマルチングの草が枯れて腐敗すると、微生物にとって理想的な条件を作り出し、結果として、土壌を健全にし、肥料へと形を変えてくれるのです。そしてもちろん、健全な土壌が、健全な人類を生むのです。

 全ての生命体を尊重し、単一紅茶栽培を進化していくシステムの一部として(そして収入を焦点にしたものとしてではなく)取り扱えば、誤ったエゴイズムに陥らずにすみます。私たちの焦点は、亜熱帯雨林と、その継続的維持と改善に置かれています。その森林は茶園の2倍を占めています。一方、茶園の区域は5つ以上の局面に分類されています。多年草と一年草の豆科植物、交互に植えられた薬草と果樹、刈り取られた茶葉の敷き草そのものと、多種類のクローバが生い茂る下草(原生の草と外来種)。多種類の雑草からなるマルチングは、実に独自な土壌を形成してきました。ケーキに砂糖をまぶすようなマルチングの技法は、人類の積極的な貢献です。すべての村落が、動物(主に牛)の糞からバイオダイナミック堆肥を作る作業に熱心に関わっています。この生きた有機体が茶園の茶木や菜園を維持しているのです。

 こうした認識は、個人、グループ、そして村落の長期にわたる強い相互作用のなかから生まれてきました。人間は等しいレベルで創造者にも破壊者にもなりえるのです。バイオダイナミック農法は、宇宙の力を調和的で穏やかに利用することで、死んだ大地を変革する媒体者へと人を進化させます。それは地球を支配することではありません。支配しようとすれば、逆に自分自身に足枷をかけることになるからです。それは双方に利益ある向上であって、結果的に、人間と環境を解放する積極的な相互作用となるのです。突き詰めて考えてみると、環境を征服する生物は、最終的には、自分自身を亡ぼすのです。

参考文献:
[1] Mr. H. Koeps & Mr. M. Klent: Tomorrows Agriculture.
[2] J. Smillie: Soul of Soil.
[3] Rudolf Steiner: Occult Science.



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